循環型社会・サステナブルな暮らしへの貢献

オーストラリアH.W.GREENHAM社との取り組み

長い年月をかけ、蓄積してきた食のバリューチェーンを武器に

環境・社会課題に応える牛肉を当たり前に

食糧事業本部は、長年にわたりタスマニア州を含むオーストラリア南部のナチュラルビーフを取り扱っています。
畜産製品の輸入パイオニアとして、早い段階から安心・安全で高付加価値な商品背景に目をつけ、バリューチェーンを構築してきた、その具体的な取り組みを紹介します。

GREENHAM社について

GREENHAM社は、ナチュラルビーフのリーディングカンパニーとして、抗生物質、成長促進剤、遺伝子組み換え作物を使用しない等の要件を満たす同社独自のプログラムに基づき、高品質な肉用牛の繁殖、肥育、解体処理、加工の一貫生産を行っています。
特にGREENHAM社の生産拠点の一つであるタスマニア州は、オーストラリア連邦政府気象観測局が世界で最もきれいな空気を観測していることから「地球上で最もクリーンな場所」として知られており、そこで生産されるナチュラルビーフはオーストラリア全土のみならず世界中の多くの顧客から支持されています。

様々な環境・社会課題に応える、そんな牛肉

GREENHAM 社では、「The Greenham Beef Sustainability Standard」 という独自の基準を設け、アニマルウェルフェア・持続可能な経営・環境保全等に取り組んでいます。また、環境再生型農業にも注力しており、土壌の有機物を増やすことによる生物多様性の促進、土壌への炭素貯留による気候変動の抑制、放牧によるアニマルウェルフェアや生産者の労働負担も軽減できる農法により、高品質なだけでなく、環境にも人にも優しい牛肉を生産しています。

当社がGREENHAM社から選ばれる理由

当社は、畜産製品輸入の先駆けとして、長い年月をかけ蓄積してきた業界でのポジションと商品知識を有しており、安定供給体制と環境変化に対応可能な販売網は、GREENHAM社をはじめとする多くの海外サプライヤーから信頼を得ており、国内トップクラスの輸入シェアにつながっています。
GREENHAM社とは、約20年前から取引を開始し、当社は早くから同社のナチュラルビーフを取り扱うようになりました。

顧客の高い要求基準に応えられた経験

20年ほど前、大手レストランチェーン店からの依頼で、ナチュラルビーフ原料の供給元を探すことになりましたが、お客さまが要求する基準は、高い安全性と品質を求めるもので、農家を巻き込んで取り組んでいく必要がありました。
当時、その要求基準に応えられたのがGREENHAM社でした。その後、GREENHAM社はこの基準を改良した独自のナチュラルビーフプログラム(NEVER EVER:以下ロゴ参考)を策定し、現在は米国をはじめとした世界各国に展開しています。この関係性は今も続いており、近年では、顧客からの要請に基づき、製品の過剰包装を廃止する等、プラスチック削減にも貢献しています。

今後の展望について

社会課題に応える独自プログラムに基づき肉用牛を育てるため、価格は高くなりますが、当社の果たすべき役割は、このコンセプトに理解、共鳴していただける顧客を探し、つなげていくことと考えています。
GREENHAM 社のナチュラルビーフは差別化を図れる特別な商材です。顧客の環境をはじめとする様々な社会課題に対する意識は年々高まっており、当社のこれまでの実績を活かし、このナチュラルビーフを幅広く販促していくことにより、当社のマテリアリティの一つである循環型社会・サステナブルな暮らしに貢献していきます。

サステナブルな ジャパンメイドブランド「WA.CLOTH® ESSENTIAL」

体と環境に優しい、紙糸素材でできた衣服

「WA.CLOTH® ESSENTIAL」でアパレル業界にサステナブルな選択肢を

MNインターファッションでは、マニラ麻を原料にした紙糸を使用したオリジナル製品を、「WA.CLOTH® ESSENTIAL(ワクロス エッセンシャル)」ブランドとして、展開しています。

WA.CLOTH® の紙糸とは

「WA.CLOTH®」で使用している紙の原料はマニラ麻と呼ばれるアサ科の植物でアバカ※と言います。
アバカによる紙糸素材は昔からあり、フィリピンでは古くから船のロープにも使われていたほど強い繊維を持っており、細くスリットすることが可能になり汎用性が高まったことで、洋服用の布地をつくることができるようになりました。
このアバカを原料にした紙糸でつくる衣服は、綿と比べて約1/3の軽さで、通気性が良く、消臭効果や耐摩耗性、耐水性にも優れています。

  • 3年程度で高さ5mにもなる東南アジア原産の早期育成植物で、和紙の原料であるミツマタに似た構造を持ち、見た目はバナナの木に似ている。
    伐採しても残った根からすぐ再生するサステナブルな植物で、繊維は長く柔軟でありながら強靭、軽量のため、
    衣服だけでなく紙幣や船舶用ロープなど、耐久性を求められるものに使われている。

古くからある紙糸に着目したきっかけ

少子化が進む日本では、衣服を購入する人口が減っており、世界を視野に入れた商品開発や事業を進める必要がありました。そこで、日本古来のものである紙糸に目をつけました。これまで紙糸製品というと、和紙など民芸品が中心で、用途が限られていましたが、日用品として使えるものを作れば、世界に通用し、より多くの人の手に取ってもらえるものになるのではと考えました。また昨今では、アパレル業界が抱える環境問題が取り上げられることも多くなりましたが、アバカは成木するのが早く栽培による環境負荷が小さいなど、紙糸を使ったファッションの提案は、その観点からもアパレル業界の構造改革につながると考えています。

アパレル業界の構造改革とは?

大量生産、大量消費、大量廃棄を繰り返してきたアパレル業界は、この過程で排出するCO2による環境負荷等、大きな課題を抱えています。これらの課題を解決し、サステナブルな社会を実現するためには、アパレル業界の仕組み自体を変えていく必要があります。SDGs(持続可能な開発目標)の観点では、12番目の目標である「つくる責任 つかう責任」が特に該当しますが、つくる側であるアパレル業界では、大量生産から適量生産への取り組みが始まっており、つかう側である消費者側でもトレンドを追いかけて使い捨てのように服を買って着るのではなく、服作りの背景を意識する層が拡大しています。その意味では、耐摩耗性や耐久性を活かした「WA.CLOTH®」の服作りは、一番のアプローチになると考えています。

今後の展望について

「WA.CLOTH®」の最大の特徴は、サステナブルと機能面を両立する素材の良さです。今後も研究開発を進め、この価値を適正に供給していくことが私たちの使命だと考えています。市場における認知度の向上はもちろんですが、マーケット全体の需要を高めるような取り組みを意識しています。商品アイテムをたくさんつくるのではなく、お客さまに素材の良さを体感してもらい、需要を喚起していきたいです。

フィンランド産PURE RAREポーク

現在、食糧事業本部では、成長促進剤及び抗生物質を使用しない食糧事業フィンランド産PURE RAREポークの取り扱いを行っています。
世界でもトップクラスの安全性を誇るフィンランド産食肉にかける熱い思いを紹介します。

フィンランドのATRIA社が生産している、だから日本へ

ATRIA社は、2035年までに飼料生産から製品出荷までトータルでカーボンニュートラル達成を目標としており、製品出荷までの全工程でCO2が発生しない太陽光・風力発電によるクリーンエネルギーを可能な限り活用しています。これによりCO2排出量とCO2抑制量を50:50にし、カーボンニュートラル達成を目指しています。またATRIA社が敷設する太陽光パネルの総面積はフィンランド国内最大レベルで、更に2倍の規模に増築を開始しています。

ATRIA社の飼料

CO2削減

豚に与える飼料も、海外からの輸入飼料ではなくフィンランド国内産穀物のみを使用し、自社工場において人間用に精製したアルコール等の残渣を再利用することで、フードチェーン全体でCO2発生量を減少させるようにしており、その結果、豚肉1kgあたりの世界平均と比較して約50%のCO2排出抑制ができています。

ホルモン剤・抗菌性物質の不使用

豚に抗菌性物質を投与することで、体内で一部の菌が抗生物質に抵抗力を持ち生き残ることがあります。それは薬剤耐性菌といわれ抗生物質が効き難い菌へと変化し、食肉を通じて人間の体内に吸収されるリスクを生みます。

また飼育豚舎で豚の体内から排出された薬剤の一部が床に溜まり、作業員の靴底や農機具に付着、その後豚舎周囲の土壌に拡散浸透することで地下水脈を通じて河川へも薬剤汚染が流出するリスクが高まります。ホルモン剤・抗菌性物質を使用しないことで、これらのリスクも無くすことができます。

日本の消費者にこのフィンランド産PURE RAREポークを選んでもらうために

当社はATRIA社から対日向け独占販売権を取得しており、フィンランドの豚肉を唯一国内販売する企業として同社と一緒に食品展示会に出展し知名度を上げ、日本市場での存在感を高めています。

日本の消費者のみならず国産ポーク生産者の方々にも知っていただきたい

このフィンランド産PURE RAREポークのテーマともいえる「地球環境の保護」「動物愛護」「食を通しての健康維持」の考え方を日本の国産農家の方々にも伝えていき、将来は日本の畜産業全体で自然にも家畜にも優しいサステナブルな食文化を構築できるよう活動していきます。

2022年2月に開催されたスーパーマーケット・トレードショー(SMTS)での出展ブース

発芽大豆由来の高品質な代替肉「ミラクルミート」

食を取り巻く世界的な環境は、人口増加や地球温暖化による干ばつ・洪水等の異常気象により厳しさを増しています。

食糧の需要に生産・供給が追い付かない食糧危機は既に始まっているともいわれています。そこで当社は2020年11月から、発芽大豆由来の高品質な代替肉「ミラクルミート」を開発、製造する国内のスタートアップ企業のDAIZ(株)と資本業務提携を行い、これまでのイメージと一線を画す新しい価値観を持った代替肉の拡販に取り組んでいます。

「ミラクルミート」は、従来の大豆搾油後の残渣物である脱脂加工大豆を主原料とする植物性代替肉と比較して、風味、食感を格段に向上させるために丸大豆をそのまま使用するのが特徴で、大豆独特の臭いや慣れない食感、無機質な味わい等、従来の代替肉に対するネガティブな印象を覆す畜肉の供給不足を補う商品と考えています。

また、食糧事業本部が長い歴史において畜肉の販売で培った、幅広い販路を活用し、「ミラクルミート」の販売、及び「ミラクルミート」を用いた加工食品の販売を拡大していきます。

TPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)

TPMSとは、タイヤ空気圧・温度モニタリングシステムのことで、世界的にはアメリカ、欧州、中国ではすでに義務化され全車種に搭載されています。日本においても、商用車から義務化が進む予定で、それを見据え、当社は、オレンジ・ジャパン(台湾)製TPMSを販売しています。

このモニタリングシステムを導入することで、適正空気圧の管理が可能となり、燃料消費の軽減が期待できます。また、データの可視化、IoTクラウド化により、新たな車両管理体制の一助としての活用や、ヒートアイランド現象がタイヤに及ぼす影響を測定し、タイヤにまつわる事故回避による安全な社会の実現にも寄与します。

この取り組みにより、安全・安心な次世代の運行管理形態を広めていきたいと考えています。

COCOROSUS(ココロサス)の取り組み

「COCOROSUS(ココロサス)」は、繊維セグメントのサステナビリティに関する取り組みの総称です。当社は、2018年に「Sustainable Apparel Coalition(SAC)」に加盟し、素材、製品、環境・労務の観点からサステナブルなモノづくりに取り組んでいます。

  • 2011年に発足した環境に優しい商品を消費者に提供するというゴールを共有する企業で構成されるアパレル連合。2020年現在の参加企業数は約255社。日本からは当社を含め7社が参加している。