気候変動対応

気候変動への取り組み

当社グループは、ESG経営に関する重要課題(マテリアリティ)の一つに「脱炭素社会・環境保全への貢献」を掲げており、2050年のカーボンニュートラルを目標にCO2排出量の削減や事業を通じたエコソリューション提案などを行っていくことにより、地球環境の保全と経済活動の両立を図り、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています。2022年5月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動が事業活動に与える影響について、TCFDのフレームワークに沿った情報開示を行い、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みをグループ全体で推進しています。

CO2排出量実績

■Scope1・Scope2

当社グループでは、2030年度30%削減(2018年度比)、2050年カーボンニュートラル達成という削減目標を設定しています。2023年度のCO2排出量は28.8千t-CO2と、2018年度比で約15%の削減となりました。当社グループでは、CO2排出量の約80%が電力使用によるものであるため、グループ会社の工場や各事務所の照明のLED化、昼休みの消灯等、各種省エネ施策のほか、本社及びグループ会社において、太陽光発電システムの導入や再生可能エネルギー由来の電力を利用したCO2フリーの電力への切り替え等を順次進めており、年度平均の削減率は約3%と目標(2.5%)を上回るペースで進捗しています。

■Scope3

当社は、サプライチェーン全体のCO2排出量削減への第一歩として、2022年度よりScope3の可視化に着手し、順次算定範囲を拡大しています。2023年度は、15カテゴリーのうち9カテゴリー(2-8、13-14)について算定し、公表しました。引き続き、算定範囲の拡大に取り組んでいきます。

CO2排出量削減(Scope1・Scope2)への取り組み

  1. 1.太陽光発電システムの導入
    CO2排出量の多い国内外コイルセンター等への太陽光発電システムの導入を積極的に推進しており、これまでに5拠点において導入が完了し、更に2026年度までに4拠点への導入が決定しています。
NST Coil Center(Thailand)Ltd.
エム・アイ・ケー
月星商事グループ
Neemrana Steel Service Center
India Pvt.Ltd.(ニムラナ工場)
  1. 2.非化石証書等の活用
    2022年3月より、当社東京本社で使用する全電力においては、非化石証書を活用した実質再生可能エネルギー由来の電力に切り替えています。今後、支社・支店・営業所においても、再生可能エネルギー由来の電力メニューへの切り替えや非化石証書・J-クレジット等の環境価値証書を活用することにより、当社におけるCO2排出量の実質ゼロ化の早期達成に取り組んでいきます。
  2. 3.社内炭素価格制度の導入
    当社グループにおける省エネ・省CO2設備の導入を推進するため、2024年6月から社内炭素価格制度を導入しています。CO2排出量の削減効果が見込める設備投資について、設定した社内炭素価格を適用し、投資判断に組み込み運用しています。
    • 社内炭素価格制度の概要
      社内炭素価格:10,000円/t-CO2
      対象案件:当社グループのCO2排出量削減に資する設備投資
      適用方法:対象となる設備投資に伴うCO2排出量及びその削減効果に対し、社内炭素価格を適用し、投資判断に組み込む

TCFD提言に基づく情報開示

ガバナンス

当社は、サステナビリティ推進の観点から、コーポレートガバナンスの高度化、ESG経営の深化、リスクマネジメントの更なる強化を目的にサステナビリティ推進体制を構築しています。その中で、社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を年2回開催し、気候関連を含む当社グループのESG経営の推進にかかわる課題について、網羅的・横断的に基本方針及び施策を検討しています。また、サステナビリティ委員会の下部組織である「SDGs戦略小委員会」「環境マネジメント小委員会」において気候関連を含む各種施策等の実行・フォローを行っています。サステナビリティ委員会で検討・協議された課題等は、年に1回、経営会議・取締役会において報告・審議され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っています。

戦略

TCFD提言は、戦略の開示にあたり、複数の気候シナリオで分析を行うことを推奨しています。当社では、主要事業である鉄鋼事業について、2030年を時間軸とし、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5°C未満に抑えるために必要な対策が講じられた場合と、対策を講じず4°C上昇する場合の2つのシナリオにおけるリスク・機会の分析、事業への影響等を検討しました。

リスク管理

当社は、気候変動に伴うリスク及び機会を特定し、PDCA(計画、実施、進捗確認及び見直し)のマネジメントサイクルを効果的に回し、改善を進めています。気候変動におけるリスクと機会の特定、分析及び評価、ならびに対応については、社内横断的なプロジェクトチームを設置し、検討を行いました。特定したリスクと機会については、サステナビリティ委員会にて検討・協議のうえ、経営会議・取締役会において報告・審議しています。

指標と目標

当社グループは、2021年5月に、ESG経営に関する6つの重要課題(マテリアリティ)を特定するとともに、マテリアリティの一つに「脱炭素社会・環境保全への貢献」を掲げ、Scope1、Scope2について、2050年度:カーボンニュートラル、2030年度:30%削減(2018年度対比)のCO2排出量削減目標を決定し、脱炭素に向けた取り組みを推進しています。
当社グループの場合、CO2排出量の約80%が電力使用によるものであることから、太陽光発電システムの導入、使用車両のEV等への切り替え、高効率・省エネ型設備への転換等の各種省エネ施策の実施と合わせて、計画的に再生可能エネルギー由来の電力への切り替えや環境価値証書(非化石証書、J-クレジット等)を活用することにより、目標達成を目指していきます。