脱炭素社会・環境保全への貢献

バイオカーボン(ブラックペレット)への出資

当社の米国子会社であるNIPPON STEEL TRADING AMERICAS, INC.(以下NSTA社)は、2022年3月、バイオカーボン(ブラックペレット)製造・販売企業であるNCT Holdco, LLC(以下Aymium社)の第三者割当増資を引受けました。

Aymium社をパートナーにした理由

Aymium社は高品質なバイオカーボンを独自の特許技術で製造する有力なスタートアップ企業です。米国ミシガン州にて北米最大のバイオカーボン製造工場を操業中であり、主にブラックペレットを製造しています。

同社の製品は独自の技術により一般的なブラックペレットと比較して高発熱量・高固定炭素であり、ハンドリング性状においても従来の石炭製品と代替可能であることから、使用に際して設備仕様変更等が必要ありません。また、特許に基づく独自の技術を用いた製品作りとサステナビリティの両面で強固な基盤を持っており、今後当社グループが脱炭素ビジネスを展開するうえで協業できるパートナーであると判断しました。

ブラックペレットとは

ブラックペレットは原料の木質バイオマスを、空気を遮断した状態で焙焼することにより炭化させ、ペレット状に成型したものであり、カーボンニュートラル製品と位置づけられています。

Aymium社は国際的な森林認証機関からCoC認証を取得しており、原料調達先も含めたサプライチェーンを厳格に管理することで、製品の遵法性と持続可能性の点で十分な対応をとっています。

  • 「Chain of Custody」の略、森林管理認証を受けた木材やリサイクル材を原材料として、適切に加工・流通していることを、製品が消費者に届くまでの全工程で原材料の認証情報を追跡する仕組み
左:原材料となる木材を炭化させた状態(ペレット化前) 右:最終製品(ペレット化後)

環境への期待効果

ブラックペレットは、木材を粉砕・乾燥して焙煎処理し半炭化したものであり、電力用一般炭の代用になる他、製鉄用途として加炭材、焼結燃料、PCI燃料等に活用できることから、製鉄・電力会社等のカーボンニュートラルに向けた効率的かつ現実的なCO2排出量削減策になると考えています。

特にAymium社製ブラックペレットは、高発熱量の製品(低温焙焼と比較して発熱量が約50%高い)を製造可能であり、発熱量当たりの各種コスト(特に輸送コスト)を抑えることができます。また、高温焙焼プロセスから回収された高カロリーのバイオガスは原材料の乾燥及び熱分解プロセスに再利用可能であり、環境負荷が低いという利点があります。

今後の展望について

現在、Aymium社では、米国カリフォルニア州及び西海岸北部で新工場を建設準備中であり、今回の増資で調達した資金がその建設に活用されます。また今後も木質バイオマスの供給が豊富な西海岸及び南東部を中心に生産能力を拡大し、米国内での販売に加え、日本、アジア、欧州の需要家向けに製品を供給していく予定です。

同社の高品質なブラックペレットは発電燃料及び製鉄原料として利用可能であり、当社グループは、その販売活動に積極的に携わっていくことで、脱炭素社会の実現に向け貢献していきます。

引用:Aymium社ウェブサイトより

エコプロダクツの販売

鉄はライフサイクル全体で評価すると環境負荷がとても小さく、無限にリサイクルできる素材です。
鉄鋼事業本部では、鉄鋼の拡販はもとより、以下のようなエコプロダクツの販売にも注力しています。

自動車用ハイテン・ホットスタンプ用アルミメッキ鋼板の販売 車の衝突時の安全性を確保しながら、軽量化を図り、燃費性能を向上
→CO2排出量削減に寄与
高圧水素用ステンレス鋼HRX19の販売 安全でコンパクト化・長寿命化を図ることが可能。対水素脆性を有し、商用水素ステーションの高圧部位に採用
→水素社会実現に向けたインフラ整備に貢献
鋼管杭NSエコパイルの販売 回転しながら羽根の推進力で地盤に貫入させていく土木・建築向けの鋼管杭
→低振動・低騒音・低排土を実現するとともに、高支持力、高耐久性を実現
高耐久性めっき鋼板スーパーダイマの販売 高い耐食性と防錆効果により加工後のめっき塗装が不要
→工期短縮や長寿命化によるライフサイクルコスト削減に寄与

新時代のニーズをキャッチ

産機・インフラ事業本部では、アルミや炭素繊維等の拡販に注力しており、新たなマルチマテリアル化のニーズに合わせ、新素材の提案、国内外の販売網を活用したサプライチェーンを構築しています。

水上太陽光発電への取り組み

水上太陽光発電システム

2020年4月に当社、(株)環境資源開発コンサルタント、積水化成品工業(株)、(株)スマートエナジーの4社で水上太陽光発電システムの販売を手掛ける水上ソーラー合同会社(以下、「水上ソーラー社」)を設立し、水上太陽光発電による再生可能エネルギーの供給強化へ向けた取り組みを推進しています。

当社は、フロート部分のコーナープレートや床面、架台などに使用される高強度かつ高耐食性を備えた表面処理めっき鋼板を供給することで、水上太陽光発電システムの構築に貢献しています。水上ソーラー社の水上太陽光発電システムは、鋼材を使用することで、従来のプラスチック素材で作られたものに比べ、台風等の災害にも強く堅牢なシステムを実現しています。

水上太陽光発電は、ため池や湖沼など、水上空間を有効に活用した太陽光発電システムです。地上配置型に比べ、土地造成による施工費・固定資産税が不要でコストが抑えられることに加え、水冷効果による高効率な発電が可能なため、近年注目を集めています。

日本国内にため池は約21万ヵ所存在し今後利活用できる資産となっており、「NEDO再生可能エネルギー技術白書」によると水上空間における太陽光発電の導入可能ポテンシャル量は、約38,800MWと推定されています。現在の導入はその中の約1%のみで、今後更なる普及が見込まれています。

自動車分野の取り組み

世界的にカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速化される中で、各国におけるガソリン車の販売規制や自動車メーカー各社の製造取りやめの動きもあり、世界の自動車販売におけるxEV(電動車)の比率は今後急速に高まることが予想されています。

当社はxEVの主要部品である駆動用モーター、バッテリー(蓄電池)の分野における事業拡大に積極的に取り組んでいます。

駆動用モーターについては、モーターコアの材料となる高性能電磁鋼板の販売を行っていますが、性能向上に向けた技術開発の動向を踏まえた取り組みにもより注力しています。

バッテリーは現在、リチウムイオン電池が主流となっていますが、より高性能、安全性を目指した次世代型電池の開発が進んでいます。これらの技術革新を把握しながら、需要捕捉に取り組んでいきます。

また、自動車分野のカーボンニュートラル化を目指した動向としては、エンジン車・EVに限らず、車体軽量化が重要な課題となっており、その手段として先進的な鉄鋼材料の採用やマルチマテリアル化のニーズが大きくなっています。

これらについては、素材の製造、部品・車体の製造、自動車の走行時、廃棄・リサイクルに至るまでの全体を考慮したLCA(ライフサイクルアセスメント)の視点から材料選択を考慮する動きもあり、当社としても、こうした動向を十分注視しつつ、各種取り組みを展開しています。

炭素繊維『トウ』
炭素繊維『プリプレグ』
アルミコイル
リチウムイオン電池

水素社会への取り組み

当社では、水素の「製造」「貯蔵・輸送」「利用」の各側面に応じた取り組みを行っています。

「製造」面では水電解装置の部材、「貯蔵・輸送」面では水素ステーションでの配管・貯蔵用タンク、「利用」面では自動車分野での水素を利用した燃料電池自動車(FCV)向けFCスタック(燃料電池)用セパレータ素材の取り扱いを進めています。

また現在、2030年頃の本格普及を見込み、開発が進む水素燃料船、水素燃料鉄道などの水素燃料化に対応した製品、産業分野での水素発電、水素還元製鉄の製造プロセスにおける取り組み、家庭分野では定置型の燃料電池などをターゲットとして、ビジネス化に向け、メーカー及び関係各社と協力の上、積極的に取り組みを進めていきます。今後、国家プロジェクトとしての水素戦略への参画に向け、当社機能を強化していきます。