NSスタッド工法

NSスタッド工法は、従来のスタッド工法では不可能とされていた"自動溶接機による鋼板への長尺、太径の異形棒鋼の完全溶け込み溶接"を実現した画期的な工法です。
この工法は、従来から鉄筋コンクリートと鋼板の接合に用いられている差し筋工法やプレートブラケット工法、機械式継手に比べ以下の特長を有しています。

  • NSスタッド工法は道路橋示方所IV下部構造編(平成14年3月)の頂版と鋼管矢板との結合部の設計に「鉄筋スタッド工法」として記載された工法。

メリット

Merit 1 大幅な工期短縮

レール式のガイドフレームを有した多連ガン(自動溶接機)の採用により、手溶接等の時間を要する作業が省略できるため、大幅な工期短縮が実現できます。

Merit 2 溶接部の高い品質

自動溶接機はサーボモーター(図-1)を用いることで溶接現象に応じた高応答性を実現し、かつ、溶接状態は全てモニタリング管理(図-2)を行うことで、現場において非破壊で溶接品質を管理することができ、溶接部の高い品質が確保できます。

品質管理

継手判定手順

外観検査合格条件

モニタリングデータ

モニタリング装置

モニタリングデータの管理値(横向)

施工方法

標準仕様

異形鉄筋スタッドは、通常の異形鉄筋と同じ形状で、溶接性を向上させるために化学成分は改良し、溶接構造用圧延鋼SM490Aと同等の材料を使用しています。
この材料は、鋼管矢板基礎設計施工便覧:日本道路協会(平成9年12月)に示すように、形状、寸法、機械的性質等はJIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)のSD345に準じ、SM490A-SDと呼称します。

異形鉄筋スタッド

異形鉄筋スタッド形状および溶接条件

SM490A-SD機械的性質

SM490A-SD化学成分

アークシールド(水平打設用)

適用例

鋼管矢板基礎頂版結合工

鋼管矢板基礎では、フーチングコンクリート(頂版部)と鋼管矢板を剛結合する必要があります。従来は、プレートを鋼管矢板に現場で溶接する方法や、鋼管矢板に穴を開け、鉄筋を挿入する方法が用いられています。これに対し、当社のNSスタッド工法は、溶接性の良い異形鉄筋を直接鋼管矢板にスタッド溶接するという画期的な工法であり、工期の短縮、品質の向上を図ったものです。

合成構造結合工

長尺鉄筋を鋼板または鋼管矢板に直接溶接し、コンクリートと鋼製部材とを結合する新しい合成構造です。NSスタッド工法による接合は、鋼とコンクリートとの結合とコンクリート構造物としてのせん断補強も兼ね備えた一挙両得の構造形式です。

性能

(1)異形鉄筋スタッド単体の強度

鋼板とコンクリートとの結合部には引張軸力とせん断力とが同時に作用しています。NSスタッド工法による異形鉄筋スタッド溶接については、力学強度試験として、最も厳しい2軸応力状態でのせん断耐力も確認しました。
せん断位置10mm、作用引張軸力0.96σy(σy:異形鉄筋の降伏強度)という厳しい条件下でも、せん断耐力で294N/mm2以上あり、十分なせん断力を有することを確認しています。

D22mm

(2)押し抜きせん断耐力

NSスタッド工法による長尺異形鉄筋のスタッド溶接部のコンクリートとの押し抜きせん断力が、鋼管矢板基礎設計施工便覧により算定した一本あたりの設計降伏せん断耐力(0.7σy)以上であることを確認しております。

異形鉄筋スタッドの荷重―せん断変位

設計要領

異形鉄筋スタッドの設計手法は鉄道構造物等設計標準と道路橋示方書とがあり、ここでは道路橋示方書に準じた設計要領を掲載する。

(1)異形鉄筋スタッドの許容応力度

異形鉄筋スタッドの許容引張応力度(σa)

異形鉄筋スタッドの許容せん断応力度(τa)

(2)せん断鉄筋の設計

せん断鉄筋の設計は、結合部に働くせん断力に対して必要なせん断抵抗を有するとともに、コンクリート部材にそのせん断力を伝達するように設計します。

[1] せん断応力度
τ=Rp/(ns・As)<τa
ここに、
Rp:鋼管矢板1本あたりの頂版下面における鉛直反力(N)
τa:異形鉄筋スタッドの許容せん断応力度(N/mm2
ns:鉄筋本数

(3)モーメント鉄筋の設計

モーメント鉄筋は、鉛直反力による偏心曲げモーメント、または鋼管矢板の拘束モーメントのうちいずれか大きい方により、結合部に作用する引張力と、頂版に作用する水平力によって作用する引張力に同時に抵抗するように設計する。

[1] モーメントによるモーメント鉄筋の引張応力度
Tm=M/h
σ1=Tm/(nba×Ab)
Tm:モーメント鉄筋に生じる引張力(N)
M:設計曲げモーメント(N・m)
h:モーメント鉄筋の中心間隔(mm)
σ1:モーメントによるモーメント鉄筋の引張応力度(N/mm2
nba:上側あるいは下側のモーメント鉄筋の本数(本)
Ab:モーメント鉄筋の断面積(mm2
[2] 水平力によるモーメント鉄筋の引張応力度
σ2=H/(2×nba×Ab)
σ2:水平力によるモーメント鉄筋の引張応力度(N/mm2
H:モーメント鉄筋の中心間隔(mm)
σ1:鋼管矢板1本当たりの水平反力(N)
[3] 合成応力度の検討
σ=σ1+σ2<σa

(4)定着長さ

鉄筋の定着長さは、次式を満足するものとする。
?=σa・Φ/(4×τoa)
ここに、
Φ:鉄筋径(mm)
τoa:コンクリートと鉄筋の付着応力度(N/mm2
フックを使用した場合は、上式の値を2/3に減ずることができる。

(5)構造細目

[1] 異形鉄筋スタッドのピッチ
異形鉄筋スタッドの打設ピッチは、縦方向には100mm以上、横方向にはd+30mm(dは鉄筋径)以上とする。
(鋼管矢板基礎設計施工便覧による)
[2] 異形鉄筋スタッドは、鋼管矢板の図心に向かって打設する形状とし、また施工上の制約のないところで折り曲げているものとする。
[3] 異形鉄筋スタッドの定着部の形状は、直線形状を原則とする。止むを得ず施工上短くしたい場合は、フックをつけてもよい。

実績

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