2026年 年頭挨拶
2026年01月05日
1月5日、東京本社で行われた当社社長中村による年頭挨拶を下記の通りお伝えします。
記
新年あけましておめでとうございます。2026年の年頭にあたり、日本そして世界各地の日鉄物産グループの皆さんへ新年のごあいさつをさせていただきます。
昨年は、米国トランプ政権による外交・関税政策に伴うサプライチェーンの混乱、戦争や米中対立がもたらす地政学リスクの増大、国内外での物価上昇、多発した自然災害など、不安定な状況が続いた一年でした。当社経営を取り巻く環境も、人口減少と高齢化に伴う国内鋼材需要の縮小、競争の激化、海外市況の悪化など、鉄鋼を中心に極めて厳しい状況に見舞われました。25年度は現行中長期経営計画の最終年度ですが、環境悪化や一過性減益要因が重なる厳しい状況下で第4四半期に入りました。現在、緊急収益改善対策をお願いしており、皆さんの奮闘をお願い致します。
一方、現行中長期経営計画を総括すると、初年度の21年度から4期連続過去最高益を達成、一過性要因を除く実力損益では23年度から3期連続で500億円を超える見込みです。分野の異なる4事業を有する当社事業ポートフォリオの強みを活かし、いかなる環境下においても実力損益500億円を超える収益構造が確立できたと評価しています。当社グループ社員の皆さんのたゆまぬご努力に心から感謝申しあげる次第です。
そして、当社は新たなステージに入っていきます。2030年度を終期とする次期中長期経営計画において、「日本製鉄グループの中核商社として、社会に貢献する強靭な成長企業の実現」を基本コンセプトに掲げ、実力損益を500億円レベルから600億円レベルに引き上げることを目指します。30年度に向けては鉄鋼事業における国内鋼材消費の大幅な減少に伴う競合激化等、厳しい事業環境が想定される中で、成長戦略の実行と人的資本経営及び業務刷新・効率化の推進により、構造的変化に対応して持続的な成長を実現していく考えです。
この目標を達成するために、4つの主要テーマに取り組みます。一つ目は、「成長戦略の推進による持続的な利益成長の実現」です。国内事業の徹底した体質強化、海外事業や原料事業の拡大、SDGs関連の新規ビジネス開拓などに取り組み、持続的な利益成長の実現を目指します。二つ目は「日本製鉄との戦略連携によるシナジー効果の追求・発揮」です。引き続き、日本製鉄との連携を強固にし、日本製鉄グループの真の中核商社である当社に求められている役割・期待に応えていきます。三つ目は「人的資本経営及び業務刷新・効率化の推進」です。成長に必要な人財の確保・育成と、AI活用やDX化などによる業務刷新・効率化に取り組み、持続的な成長を可能にする体制を強化していきます。四つ目は「ESG経営の深化」です。これまで以上に注力し、さらなる企業価値向上に向けて取り組む決意です。
2026年度は、次期中長期経営計画の初年度です。力強い第一歩を踏み出すべく、各事業本部に以下のお願いをしたいと思います。
鉄鋼事業本部については、海外においてアジアの鉄鋼需要が鈍化する一方、主要ミルの生産能力が新鋭設備の立ち上げにより増加傾向にあり、需給改善は期待できない状況です。加えて、中国では内需停滞が続き、粗鋼減産が不透明な中で高レベルの輸出が継続しており、当面の間、市況回復は見込まれません。
国内においても、海外貿易環境の不透明感を背景に、製造業の直接・間接輸出は伸び悩み、設備投資も減退傾向、住宅・非住宅分野は物価高騰・人手不足の影響、自動車生産も人口減・関税の影響で低調に推移しており、昨年の国内鋼材消費は前年比でマイナス2%と、減少に歯止めがかからない状況です。
このような厳しい状況に打ち克つために、4点のお願いをしたいと思います。
第一に、中国の過剰生産による各国の通商政策の断続的な発動、各地域のブロック化の進展を踏まえ、地産地消を基本とする事業投資を積極的に実施し、事業構造の転換を図ってください。第二に、日本製鉄の戦略地域である欧米・インド・アセアンを中心に、積極的な経営資源の投入と成長戦略の推進を図り、アフリカ・南米といった未開拓地域で、ブリキ商権の拡大をベースに橋頭保を築いてください。第三に、国内においては、コイルセンターのさらなる構造対策の推進など「ハード面」と、業務効率化実現のためのDX推進・AI活用など「ソフト面」の両面から徹底的に効率化を推進してください。加えて、グループ会社間のハブ役となりグループ力の向上・最適化・効率化を図ってください。第四に、CO2排出削減に関わる需要を確実に捕捉し、カーボンニュートラル商品や高機能商品の拡販、人手不足への対応として、省力化・短工期に資する商品・商材の販売を拡大し、サプライチェーンにおける機能をより一層強化してください。
産機・インフラ事業本部については、一過性の株式評価損などはあるものの、本業においては現行中長期経営計画を上回るペースで健闘しています。また、懸案であった海外GHS事業の売却に道筋がついた一方で、植物由来のバイオディーゼル燃料事業への投資やベトナム北部工業団地での新たな販売代理権の獲得など、成長分野へのポートフォリオの組み換えも着々と進めています。広いビジネスフィールドを持つ事業本部として、既存商売の強化に加え、将来の収益の柱となるような新規事業の創出と他事業本部とのシナジー発揮に大きく期待しています。
食糧事業本部については、現在の好調を維持し、25年度は過去最高益を目指してください。そのうえで、26年度からは成長戦略の着実な実行と事業基盤の強化を継続的に進め、持続的な成長を実現していただきたいと思います。特に、既に成果が出ている大口取引先との取り組み型ビジネスにおいては、各部横断で営業の高度化と生産性の向上を推し進めるとともに、品質管理能力を強化し、食の安全を担保することで、取引先との関係性をより一層強固なものにしてください。また、子会社と一体化した営業、海外における地場取引の拡大もこれまで以上に進めてください。事業がさらに飛躍を遂げ、より高い目標に挑戦する年となることを期待しています。
繊維事業については、MNインターファッション発足時に掲げた統合事業計画の最終年度を迎える年であり、新たな中期計画策定の発射台となる節目の一年です。単体の業績は、統合による事業ポートフォリオの拡充や固定費の削減効果などもあり、統合事業計画を上回る水準で推移しています。しかしながら、発足当初と比べて事業環境は大きく変化しており、顧客による直貿化が進展するなどビジネスモデルも変貌しています。26年度は、統合事業計画に織り込んだ成長戦略やシナジーの達成状況などについてしっかりと総括を行い、さらなる持続的成長に向けた次期中期計画の策定に取り組んでいただくとともに、統合事業計画の締め括りの一年として収益基盤の一層の強化をお願いします。
企画管理本部については、次期中長期経営計画において成長戦略と固定費マネジメントの両輪を確実に実行するべく、戦略目標と具体的施策に基づく26年度予算を編成して、その実行状況を的確にフォローしてください。また、当社の人財育成をさらに強化するとともに、適材適所の人員配置、および能力を大いに発揮するために必要な人事諸制度の見直しを進めてください。合わせて、プロセスの見直しやAIの活用などにより現状の業務を大幅に効率化し、社員の付加価値生産性を高めるための業務刷新プロジェクトを強力に推進していただきたいと思います。
こうした取り組みを進めていくうえでベースとなるのが、当社の最重要課題である「安全」「品質管理」「コンプライアンス」への万全の対応です。昨今は重大災害こそ発生していませんが、災害発生件数は横ばいで推移、品質事故も少なからず発生しています。コンプライアンスについては、2024年にコンプライアンスの徹底、および不適切行為の撲滅を目的とした社長通達を出しましたが、ゼロに至っていない状況です。企業運営の土台をより強固なものとするために、改めて原点に立ち返り、グループ社員一人一人が当事者意識をもって諸活動の質を高めていただきたいと思います。
以上、申し述べてまいりましたが、就任以来さまざまな機会でお伝えしている通り、当社の最大の財産は「人」、すなわち社員の皆さん一人一人です。日鉄物産グループの6,500名を超える社員それぞれがプロフェッショナル人財として最大限に力を発揮できる環境づくりと、個々の成長を会社の成長につなげる企業風土の確立こそが、さらなる成長・発展への原動力だと確信しています。海外事業の拡大に向けた人財の確保や育成など、今後の利益成長に必要な人財への投資も惜しまず実行していく予定です。
26年度は、極めて厳しい経営環境が継続する見通しですが、これまでの歩みを礎に、新たなステージへと挑む年となります。日鉄物産グループ一丸となって現行中長期経営計画を完遂し、次期中長期経営計画の目標に向かって、共に歩みを進めていきましょう。2026年が日鉄物産グループにとって飛躍の年になること、そして、社員の皆さん一人一人とご家族にとって健康で幸せな年となることを心より祈念し、私の年頭のあいさつといたします。