2025年 年頭挨拶

2025年01月06日

 1月6日、東京本社で行われた当社社長中村による年頭挨拶を下記の通りお伝えします。





 2025年の年頭にあたり、日本そして世界各地の日鉄物産グループの皆さんへ新年のご挨拶をさせていただきます。

 昨年を振り返ると、国内は地震・豪雨・台風などの自然災害に相次いで見舞われ、海外でも各地の戦争・紛争の継続、中国経済の停滞、主要先進国の政治流動化など、不安定な一年でした。当社経営を取り巻く環境も激変し、特に鉄鋼分野においては、国内鋼材需要の減少、海外市況の下落という厳しい状況に直面しました。こうした環境下にも関わらず、グループ社員の皆さんの努力により、23年度の連結経常利益は528億円と3期連続で過去最高益を計上し、24年度も前年に迫るレベルを維持して第4四半期を迎えたところです。24年度の特徴は、厳しい環境下にある鉄鋼事業の減益を、産機・インフラ事業、食糧事業、繊維事業の3事業が対前年大幅増でカバーしていることです。当社が、分野の異なる4事業を持っている強みが発揮できていると言えます。グループ社員皆さんの奮闘に心から感謝申し上げる次第です。

 さて、25年度は中長期経営計画の最終年度です。当社は、21年度・22年度と過去最高益を挙げたことに加え、コロナ禍からの経済回復や日本製鉄による子会社化のシナジー効果を見込み、25年度計画を大幅に上方修正しました。しかしながら、それから2年の間に経営を取り巻く環境は激変しました。国内鋼材需要は回復するどころか漸減に歯止めがかからず、中国の過剰生産と輸出拡大により各国の市況は低迷を続けています。こうした状況は当面の間、継続すると想定され、さらには各国の通商政策の動向にも注視する必要があります。

 就任時に申し上げましたが、当社の主たる経営資源は「人」であり、社員一人ひとりの成長が会社の成長に繋がる姿が理想だと考えています。この4年間の皆さんの努力により当社は利益成長を続けており、私が描く姿に一歩一歩近づいているとの手応えを感じています。環境が激変する25年度にいかに実力を発揮できるか、まさに正念場を迎えています。グループ社員皆さんの力を結集して中長期経営計画の完遂を図るべく、各事業本部に以下のお願いをします。


 鉄鋼事業本部については、取り巻く環境は厳しいものがありますが、気候変動やCO2排出削減に関わる課題をビジネスチャンスと捉え、カーボンニュートラル関連新商品や高機能商品などの需要増を確実に捕捉していくことが重要です。

 日本製鉄による子会社化以降大きな事業拡大の機会を得た今、果たすべき役割は明確になっています。日本製鉄グループの真の中核商社として、まず始めに、国内グループ会社間のコーディネート役となりグループ力向上・最適化・効率化を図ること、次に、インド・タイ・米国など鋼材需要の成長が期待できる地域へ経営資源の拡充を図ることです。そして最後に、日本製鉄とのシナジー効果の発揮はもとより、旧NS建材薄板との合併効果の発揮、国内外での出資拡大や新規投資の効果を確実に実現させ、トレードと投資の最適化による需給に左右されない事業基盤を確立することです。

 鉄鋼事業本部は、これらの実現に向け、引き続き、「成長戦略」と「事業基盤強化」を両輪で回し、補強・追加・見直しを図り、中長期経営計画の完遂を目指していただきたい。


 産機・インフラ事業本部については、24年度の過去最高益が視野に入っています。事業環境は決して良いと言えない中、ビジネスチャンスを着実に捕捉するとともに、困難に直面する事業を知恵と粘りで大きく好転させるなど、皆さんがそれぞれの現場で努力したことがしっかりと結果に繋がっていることを非常に頼もしく思います。

 また、昨年は船舶用植物由来バイオ燃料の実証実験やタイでの水素活用の事業性調査など、新たなビジネスの種が具現化しました。本年も引き続き、社会課題の解決に資するビジネスの開拓と鉄鋼事業とのシナジー発揮に力強く邁進していただきたい。


 食糧事業本部については、成長軌道に乗りつつあると評価しており、成長戦略の着実な実行と事業基盤の強化を継続的・自律的に進め、成長の果実を確実なものとしていただきたい。成長戦略では「大口需要家との取り組み型ビジネスの深掘り」「子会社と一体化したさらなる営業推進」「海外拠点での地場取引の拡大」など、また事業基盤の強化では「グローバル人財の育成」「固定費マネジメント強化」などに取り組んでください。そして存在感を示し、事業が飛躍しさらなる高みを目指す年にしていただくことを期待しています。


 繊維事業については、コロナ明け需要増の反動や急激な為替変動などの影響はあるものの、MNインターファッションの足元の業績は、統合効果の発揮などにより統合前の旧会社2社の単純合算を上回る水準で推移しています。アパレルOEM事業の営業組織再編や基幹システムの統合も完了し、さらなる成長に向けて、新卒採用や積極的な中途採用による人的リソースの拡充も進めています。

 本年は、2026年を最終年度とする中長期経営計画の達成に向けた重要な年であり、成長戦略として掲げた国内・グローバルそれぞれの領域における「既存事業の拡大」「新規事業への挑戦」の推進を通じて、一層の事業収益力の強化をお願いします。


 企画管理本部については、日本製鉄との連携強化も含めた業務の見直しにも目途がたちました。本年は、当社の持続的成長に向けた将来事業計画や諸施策の検討、諸制度の必要な見直しに取り組んでいただきたい。具体的には、日本製鉄とのシナジー効果も含めた成長戦略を軸に、中長期経営計画の最終年度となる2025年度計画を策定・実行するとともに、当社が目指すその先の姿についても検討を進めてください。

 また、社員の成長が会社の成長に繋がります。持続的成長の鍵となる人的資本経営の深化を図るべく、社員の育成、女性やシニア社員の一層の活躍推進といったテーマについて、サステナビリティ委員会などでの議論と提言を踏まえて社員のニーズに応える施策の実行をお願いします。


 最後に、企業運営の土台であり、最重要課題である「安全」「品質管理」「コンプライアンス」への万全の対応をお願いします。この活動に終わりはありません。グループ社員一人ひとりが当事者意識を持って諸活動の質を高めていただきたい。また、「リスクマネジメント委員会」において当社グループを取り巻くさまざまなリスクについて網羅的・横断的に管理し、リスクを発現させない、リスクに強い企業体質の構築を進めてきましたが、引き続き、あらゆるリスクを排除すべく取り組みをお願いします。


 以上縷々申し述べてまいりましたが、就任以来さまざまな機会でお伝えしている通り、社員一人ひとりの成長が会社の成長に繋がる姿を目指しています。そして、会社の成長が社員の処遇改善とモチベーションの向上に繋がることで、会社の持続的な成長が可能になると確信しています。25年度の経営環境が極めて厳しいことは十分承知していますが、これまで培ってきた当社の実力の真価が問われる年です。日鉄物産グループ社員全員が一丸となって中長期経営計画を完遂することにより、当社の成長に向けた好循環を実現し、日本製鉄グループの真の中核商社を目指していきましょう。皆さんの奮闘に期待するとともに、社員一人ひとりとご家族にとって健康で幸せな年となることを心より祈念し、私の年頭の挨拶といたします。

年頭挨拶写真.JPG

以上