2024年 入社式挨拶

2024年04月01日

4月1日、東京本社で行われた当社社長中村による入社式挨拶を下記の通りお伝えいたします。

                                       記

 日本橋の桜もようやく開花し、皆さんの新たな門出を祝っています。50名の新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。まずは、皆さんの入社を心より歓迎し、お祝い申し上げます。

 コロナ禍の3年半が終わり、世の中はコロナ前に戻ったかの様相を呈しています。しかしながらこの間に、生活様式の変化だけではなく、社会や経済界が構造的に変貌していく兆しも顕在化しています。変化が大きく困難な状況下で、果たして皆さんは充実した学生生活を送れたのだろうかと、一抹の不安を覚えながら50名の自己紹介シートを拝見しました。しかし、そうした不安はすぐに払拭されました。皆さんは、こうした環境下においても、学業に加え様々な活動に注力され、そこから多くを学んで自信を持ち、社会人生活への大きな期待と当社で実現したい夢を抱いて、本日この場に出席されています。そんな皆さんの希望に溢れるお顔を拝見し大変頼もしく感じています。そして、日鉄物産という舞台で皆さんの夢をかなえてあげたい、そのために精一杯のバックアップをしたいと心から思った次第です。


 さてここで、当社グループの現況と今後の方針について少しお話しいたします。当社グループは、鉄鋼、産機・インフラ、食糧、繊維の4つの事業セグメントが、それぞれの業界でトップクラスの競争力を持った事業を展開しています。各事業の更なる成長はもちろん、デジタルトランスフォーメーションへの対応、気候変動問題・脱炭素への取り組み等、社会課題の解決に貢献する新規需要の捕捉に努め、企業価値向上を図るべく日々挑戦を続けてきました。


 一方で、ビジネスを取り巻く環境は不透明です。ここ数年を振り返っても、米中の覇権争い、新型コロナ感染の周期的拡大、カーボンニュートラルの動き、そしてウクライナや中東での戦争等が複雑に絡み合い、世界経済への影響はもちろん、当社が扱う商品の需給・価格・サプライチェーンにも影響を及ぼし、当社は幾多の困難に直面してきました。

 
 こうした状況下ではありますが、いかなる環境変化があろうとも、企業は成長に向けた歩みを止めてはなりません。当社グループは現在、「社会に貢献する強靭な成長企業の実現」を基本コンセプトとする中長期経営計画を策定し、強靭な企業体質を構築すること、持続的な利益成長を実現すること、環境・社会・ガバナンス、つまりESGへの取り組み深化、以上3点を重点課題として取り組んでいるところです。


 グループ社員一丸となった努力が実を結び、2022年度の経常利益は513億円と2期連続過去最高益、2023年度上期の経常利益も267億円と半期で過去最高益の前年上期とほぼ同水準です。当社グループは一過性要因を除く実力損益で500億円を超える水準を確立し、着実に力をつけていると確信しています。

 また、当社は昨年4月に日本製鉄による当社株式の公開買付けが成立し、日本製鉄の連結子会社となりました。当社グループはまさに今、日本製鉄グループの真の中核商社として、さらなる成長と飛躍に向けた新たなステージに立っています。主力事業である鉄鋼事業において、当社グループと日本製鉄が高い次元で情報および営業戦略を共有し、お互いのノウハウ・インフラを最大限に活用し、迅速かつ適正な戦略の実現に向けて取り組むことにより、当社グループの事業拡大・競争力強化・収益拡大が期待できます。また、産機・インフラ、食糧、繊維の3事業も、日本製鉄グループにおいて、鉄との親和性は薄いものの、収益性の高い異彩を放つ3事業となることを目指しています。


 以上、当社グループの現況と今後の方針についてお話ししました。皆さん、当社が成長軌道を着実に歩んでいること、そして従来にも増して皆さんが活躍する舞台が大きく拡がっていることをご理解いただけたでしょうか。

当社グループの主たる経営資源は「人」、つまりグループ社員全員です。そして、グループ社員の一人ひとりが日常業務を通して成長していくことが、当社グループの成長につながります。皆さんは本日その仲間に入られました。皆さんはまずは社会人生活に慣れ、職場の上司や先輩の教えを素直に聞いて仕事を覚え、一日でも早く戦力になっていただくことを願っています。


 当社の「社員行動指針」のキーワードは「挑戦・成長・信頼・ボーダレス」です。皆さん、まずはこれを社会人生活の指針として常に行動してください。そしてこの社員行動指針を実行することにより、顧客の想いに応え続け、自らの手で新しい商品価値を作る、この道ではだれにも負けないプロフェッショナル集団となって欲しいと考えています。皆さん一人ひとりがプロフェショナル人財になるために、当社では現場での教育訓練を徹底するとともに、多様な経験を通じて皆さんが学び、成長する環境を用意していますので、是非自己成長を意識して取り組んでいただきたいと思います。


 それぞれの職場で皆さんが成長されることを心から願っていますが、皆さんの成長を後押しすべく、私が大事にしてきたこと、そして若い人達に常々伝えてきた3つのことを申し述べたいと思います。


 一つ目は、「考える・判断する・実行する」を徹底的に実践していただきたいということです。現状の業務をより効率的・効果的に行うにはどうするか、環境変化のリスクにどう対応するか、会社の成長につながるチャンスは何か等々、知恵を絞っていただきたい。こうして絞り出した知恵を、皆さんもしくは組織として迅速かつ的確に判断して、信念を持って実行する。こうした動きが定着すれば、皆さんも成長し、組織の力は向上します。そして、必ずや当社グループの成長・発展につながります。私は当社グループ経営にあたって、「自ら責任を持ち、主体的に判断し、自主的に行動する時、人は最大の力を発揮する」という言葉を大事にしています。皆さんの主体性・自主性に大いに期待したいと思います。


 二つ目は、失敗を恐れず、チャレンジ精神を持ち続けてほしいということです。仕事をしていく上では、色々な困難が待ち受けています。失敗することもあるでしょう。大事なのはその後です。「失敗は成功のもと」という言葉は、万人には当てはまりません。諦めてしまう人・逃げてしまう人は当然ですが、同じやり方でがむしゃらに挑み続ける人も成功には至りません。失敗の中に隠されている成功するための鍵を見つけた上で、強い心を持って再チャレンジすることが重要です。


 三つ目は、人との出会いを大切にしていただきたいということです。皆さんはこれから多くの人との出会いを経験していくことになります。全ての出会いにおいて「一期一会」の精神を忘れず、誠意を持って人と接していただきたいと思います。こうした素晴らしい出会いの積み上げは、必ずや皆さんの財産となるはずです。その第一歩が、50名の同期の皆さんとの出会いです。かけがえのない同期の仲間との絆をしっかりと築き、これからの会社生活において、助け合い、時には競い合い、それぞれの夢の実現を目指していただきたいと願っています。


 最後になりますが、改めて50名の皆さんの入社を心からお祝いし、私からの激励の言葉といたします。本日は誠におめでとうございました。健康に留意し、共に頑張っていきましょう。

以上