2023年 年頭挨拶

2023年01月05日


1月5日、東京本社で行われた当社社長中村による年頭挨拶を下記の通りお伝えします。





新年あけましておめでとうございます。2023年の年頭にあたり、日本そして世界各地の日鉄物産グループの皆さんへ新年のご挨拶をさせていただきます。

まずは、新年の清廉な空気の下、今年もこうして皆さんと一緒に新しい年を迎えられたことを心から喜びあいたいと思います。そして、昨年は新型コロナ禍による事業活動への制約が継続する中ではありましたが、皆さんのご努力により21年度経常利益は過去最高益、22年度上半期も半期ベースで過去最高益を計上することができました。当社グループ社員皆さんの奮闘に心から感謝申し上げる次第です。


さて、昨年末に、日本製鉄による当社株式の公開買付け開始について賛同する旨を発表し、皆さんに説明させていただきました。年頭にあたり、改めて本件の意義についてお話しいたします。

当社グループは4つの事業セグメントがそれぞれの業界でトップクラスの競争力を持った事業を展開しております。その主力事業である鉄鋼事業において、本件により当社グループと日本製鉄が一体となって高い次元で情報および営業戦略を共有することが可能になります。そして、お互いのノウハウ・インフラを最大限に活用し、迅速かつ適切に戦略実現に向けた取り組みを進めることは、事業の拡大・競争力の強化、収益の拡大に大いに資すると考えています。日本製鉄グループにおける真の中核商社として、国内外で日本製鉄製品の取り扱い規模をさらに拡大し、特に伸びゆく海外市場や新規分野での事業展開を拡大するチャンスの到来であると捉えています。この大きなチャンスを活かすことにより、鉄鋼事業の規模・業績を大きく伸ばすことが可能であると確信しています。

また、産機・インフラ、食糧、繊維の各事業においても、今後期待される当社グループ信用力の向上等も活かして、更なる成長を目指してもらいたいと思います。

当社グループ社員の皆さんにとっては、活躍する舞台が拡大することになり、更なる飛躍・成長につながります。本件が当社グループの成長、競争力強化、企業価値の向上となり、皆さんにとっても大きなプラスになることをご理解いただき、今後とも、より一層業務に邁進していただきたいと考えています。


一方、こうした飛躍的な成長を実現していくためには、日本製鉄グループにおける真の中核商社にふさわしい実力を備えておくことが必須です。皆さんに二点お願いいたします。


一点目は、当社グループの現状実力の確認です。23年度は、中長期経営計画の中間年度となります。21年度は経常利益478億円と過去最高益を計上、22年度は経常利益460億円の見通しでありますが、在庫販売益等の一過性要因を除く実力損益は改善されており、当社グループは着実に力をつけているものと評価しております。しかしながら、鉄鋼事業においては、世界経済の減速やサプライチェーンの混乱、および国内鋼材需要の低迷等に伴い、今後も厳しい経営環境が継続する見通しです。また、食糧、繊維等の輸入取引においても、円安や物流費等の上昇に伴うコスト増の影響により、事業環境は大変厳しいものとなっています。こうした中で、当社グループの現状の実力を確認した上で、「事業基盤強化」と「成長戦略」の完遂、さらには追加・補強策を織り込んだ23年度計画を策定・実行し、中長期経営計画の23年度目標を確実に達成する年にしたいと考えています。


二点目は、日本製鉄による当社株式の公開買付けが成立し、日本製鉄の子会社となった以降も念頭に、当社グループの将来を見据えた中長期経営計画を検討することです。当社グループはこれまで知り得なかった日本製鉄の営業戦略や顧客・営業・技術情報を日本製鉄と共有することとなります。そして各分野において、日本製鉄と将来を見据えた戦略を議論していくこととなります。日本製鉄の負託に応え、且つ当社グループが飛躍的に発展していくための戦略、それを実現するための課題を徹底的に考えて、25年度に向けて実行中の中長期経営計画を再検討していく必要があります。当社グループ社員の皆さんには、本年が日本製鉄グループにおける真の中核商社となるためのスタートの年であることを十分に認識していただき、こうした課題へ前向きに取り組んでいただくことを期待しています。もちろん、私自身が先頭に立って、「社会に貢献し成長し続ける商社、日鉄物産」の具体的な姿を描いていくつもりです。


以上2点を踏まえて、各事業本部の皆さんに本年のテーマとお願いを申し上げます。


鉄鋼事業本部については、内需は総体的には底堅く推移するものの回復は限定的、外需は世界経済の成長鈍化により昨年を下回ると言われる事業環境ではありますが、気候変動やCO2排出削減に関わる需要は着実に増加すると見込まれています。今年はこれまで実施してきた施策を総点検し、将来を見据えた布石を打ち、流通競争の激化に耐えうる体制を構築していただきたい。具体的には、加工・製造拠点の再編等構造対策の効果発現、新需要・新技術を含めた高機能分野対応の強化・拡充、事業拡大・創出のための投資・M&A、DX戦略施策の最大活用による生産性向上です。


産機・インフラ事業本部については、アルミ・炭素繊維等、高機能材料の好調な需要を背景としてビジネスを伸長する一方、半導体不足やサプライチェーンの混乱の影響、ロシア・ウクライナ紛争を主因とした世界的な資源価格の高騰等、事業環境は厳しさを増しております。特に大きな影響を受けている自動車部品関連事業、タイでの発電事業については、足元の収益改善に全力で取り組むと同時に、中長期的視野で持続可能とならしめる方策を徹底的に考え実行いただきたい。


食糧事業本部については、SDGsを意識した植物性代替肉や成長促進剤・抗生物質を使用しないフィンランド産ポークの拡販、既に海外販売戦略として展開しているマレーシア・ベトナム事業の本格化、台湾のパートナーとの協業深化等を推進いただきたい。


繊維事業については、統合新会社のMNインターファッションが発足して一年が経ちました。厳しい事業環境が続く中で、現在、統合事業計画に基づく26年度までの中期経営計画を策定中です。今年は、統合の目的である、強固な事業基盤の構築、新たな成長分野での事業機会創出、顧客への提供価値の深化の実現に向け最大限の取り組みをお願いしたい。MNインターファッションの企業価値向上のために、日鉄物産としても、最大限の支援を行う所存であります。


企画管理本部については、日本製鉄による当社株式の公開買付けも念頭に、23年度計画の策定・実行、並びに、当社グループの将来を見据えた中長期経営計画の検討において、人事制度・人材育成施策、投資戦略やグループ会社管理をはじめとする成長の基盤となる諸施策につき、実効性ある提案・支援機能を発揮していただきたい。また、公開買付けが成立した後は、子会社への移行に関わる業務を円滑に実行すると共に、日本製鉄との更なる連携強化に基づくESG経営の深化をはじめとする新しい会社のありようにつき、自ら考え抜き、取り組んでいただきたい。


最後に、企業運営の土台であり、最重要課題である「安全」「品質管理」「コンプライアンス」への万全の対応をお願いします。この活動に終わりはありません。グループ社員一人ひとりが当事者意識を持って活動に参加し、諸活動の質を向上していただきたい。また、「リスクマネジメント委員会」において当社グループを取り巻く様々なリスクについて網羅的・横断的に管理し、リスクを発現させない、リスクに強い企業体質の構築を進めてきましたが、引き続きあらゆるリスクを排除すべく取り組みをお願いしたい。


以上縷々(るる)申し述べてまいりましたが、当社グループの経営資源は「人」、すなわち社員の皆さんであります。その皆さんが仕事においてやりがい、楽しさを見出し、ワーク・ライフ・バランスを大切にしながら、人生をより充実させることが、会社の成長につながると私は考えています。


2023年は日鉄物産グループにとって大きな転機の年となるでしょう。今年が更なる高みに向けて大きく飛躍する年となり、皆さんおよびご家族にとって健康で幸せな年となることを心より祈念し、私の年頭の挨拶といたします。


ご清聴ありがとうございました。


社長年頭挨拶フォト.jpg

以上