2022年 年頭挨拶

2022年01月05日


1月5日、東京本社で行われた当社社長佐伯による年頭挨拶を下記の通りお伝えします。



あけましておめでとうございます。2022年の年頭にあたり、日本そして世界各地の日鉄物産グループの皆さんへ新年のご挨拶をさせていただきます。

まずは、皆さんと共にこの新しい年を迎えられたことを心から喜びあいたいと思います。

昨年一年間、社員の皆さんには、新型コロナ対策を継続しつつ、様々なご苦労を伴いながらも当社の発展に向け、日々努力いただきました。心より深く感謝申し上げる次第であります。新たな変異株出現もあり、新型コロナによる私たちの生活や経済への影響はまだまだ不透明感が残りますが、しっかりと対策を講じることで皆さんが安心して働ける環境を整え、事業継続との両立を図ってまいりたいと考えます。

各予測機関によると、今年の世界の経済成長率はプラス4%から5%との見通しであります。日本ではプラス2%から3%程度と新型コロナ影響からの回復過程にはあると見込まれる一方で、中長期的には1%に満たないような予測となっております。

当社を取り巻く環境も、主力の鉄鋼事業を中心に回復基調にありますが、中長期的な構造としては、これまでにも申し上げてきたとおり、国内鋼材需要の縮小、国際マーケットでは自国産化、競合激化、また繊維についても国内マーケットの縮小が見込まれ、事業環境は厳しいものと覚悟せざるを得ません。

そうした中、当社は「社会に貢献する強靭な成長企業」を目指し、三つの柱からなる中長期経営計画を策定し、全社の総力を挙げて実行しているところです。

まず一つ目は、事業基盤強化策の実行です。具体的には、グループ社員の付加価値生産性を抜本的に向上させるとともに、製造・販売拠点の再編・統合・撤退等を進めることによって、グループ全体の効率化の推進、固定費規模の圧縮を図ってまいります。

二つ目は、成長戦略の推進です。具体的には、SDGs等の社会的ニーズに対応した新規需要の捕捉、海外事業の深化・拡充、さらには流通機能強化とソリューション提供、M&A・アライアンス、そしてデジタルトランスフォーメーション戦略の推進であります。

2021年度はこれら施策の多くがすでに実を結び、鉄鋼の市況上昇等、事業環境の回復もあり経常利益・当期純利益は共に過去最高を更新できる見込みとなっております。社員一丸となった皆さんの懸命な取り組みに対し、重ねて感謝を申し上げる次第であります。

今年はこの利益の維持・拡大、そして今後の持続的成長につなげていくこと、これが我々に課せられた大きな使命となります。

2021年度の市況上昇に伴う在庫販売益等の一過性利益は2022年度には剥落し、その他様々な減益要因が懸念されております。それらを乗り越えて利益成長を続けるためには、「事業基盤強化策の実行と成長戦略の推進」を決して緩めてはならず、更に加速させることでその達成を前倒ししていかねばなりません。

そこで、各本部の皆さんに今年のテーマとお願いを申し上げます。

鉄鋼事業本部

取り巻く環境変化が想定以上のスピードで迫ってきています。サプライチェーンにおける真の意味での存在意義を問われ、競争が更に激化する年になります。自らの機能を総点検するとともに、次の施策に鋭意取り組んでください。事業基盤強化策として、既に国内外で着手している加工・販売拠点の再編等構造対策について、速やかに効果を発現すること。また、成長戦略の前倒しと追加施策の実行をお願いしたい。具体的には、新しい需要・技術を含め高機能分野対応の強化・拡充、供給ソースの多様化とインサイダー化の加速、事業拡大・創出のための投資・M&Aやアライアンスなどであります。

また、今年は社外と連携する新コイルセンターシステム、ポータルサイトの立ち上げなど、DX戦略が本格化します。サプライチェーン一貫での効率化、品質管理の厳格化、生産性向上等、しっかりと成果につなげてもらいたいと考えます。

産機・インフラ事業本部

引き続きの課題であるGHS事業については収益改善を確実に実現すること。更にアルミ・炭素繊維等の販売拡大などマルチマテリアル化、タイ・メキシコ・日本における太陽光発電事業やアジアでの鉄道プロジェクト事業等の成長戦略を確たるものにしていただきたい。

繊維事業

これまでにない厳しい事業環境が続く中、1月1日、統合新会社のMNインターファッションが発足しました。新会社としての経営計画、成長戦略の達成に向け最大限の取り組みをお願いしたい。OEM事業基盤の強化、新たな事業機会創出、お客様への価値提供の深化等において統合による大きなシナジーが期待されます。日鉄物産としても、新会社の基盤強化、成長・発展に向けできうる限りの支援をしてまいる所存であります。

食糧事業本部

外食向け需要が大きく落ち込む中で、量販店向け需要の捕捉等により相応の収益を確保できる見込みでありますが、更なる成長を目指し、海外拠点強化による販売の拡大、国内ではM&Aや投資を含む販路の安定確保策の推進、そしてエシカル消費につながる植物性代替肉の普及拡大に向け注力いただきたい。また、今後は、世界的な食肉需要の増加による供給不足が懸念されますが、この対応についても速やかに取り組む必要があります。

企画管理本部

事業構造対策、投資戦略を含む中長期成長戦略の深化・補強策について自ら考え抜き、実効性ある提案・支援機能を発揮していただきたい。また、サスティナビリティ推進の旗振り役として、この後お話する各種ESG施策の推進、リスクマネジメント・内部統制の強化・充実等に主体的に取り組んでもらいたい。その中で、自らの仕事の更なる業務刷新・効率化にも取組み、全社の模範としてグループ全体を強力にリードしていただきたい。

さて、中長期経営計画の三つ目の柱は、先ほども触れましたが、ESG経営の深化です。

持続可能な社会の実現のため、当社は環境・社会・ガバナンスのそれぞれについて更に取り組みを強化いたします。具体的には、エコソリューションの提案による脱炭素・循環型社会への貢献、ダイバーシティ&インクルージョンに配慮した次世代を担う人材育成や安全・健康経営の更なる向上、信用・信頼に基づく経営等であります。

それらを強力に推し進めていくため、ESG委員会を新設、そしてその中に環境会議、社会会議、ガバナンス会議を設置し、あるべき方向性の検討、具体的な施策の実行に取り組んでまいります。

加えて、当社を取り巻く様々なリスクをコントロールすべく「リスクマネジメント委員会」を設置、安全・品質・コンプライアンス・情報セキュリティ・防災等を網羅的・横断的に管理し、PDCAを回すことで、リスクマネジメントをグループ全体に定着・浸透させ、リスクに強い企業体質を構築してまいります。

以上縷々申し述べてまいりましたが、これらの施策一つ一つにおいて成果を確実なものにしていくためには、改めて申すまでもなく、社員皆さん一人ひとりの力を最大限に発揮していただかなければなりません。それぞれの課題をしっかりと認識し、「やるべきことをやっているか?新たな提案ができているか?改善・改革できているか?」を自問自答し弛まぬ挑戦を続けていただきたい。もちろん私も社長として率先垂範、日々自問自答しつつ当社の発展に向け奮励努力してまいる所存であります。

いよいよ今年2月、本社は東京日本橋タワーに移転します。

これまで、社員の皆様が仕事においてやりがい、楽しさを見出し、ワークライフバランスを大切にしながら、人生がより充実するようにと、「働きやすい職場、働きがいのある仕事の創造」を目指し働き方改革等各種施策に取り組んでまいりました。

新しいオフィスでは、皆さんのご意見を反映し、新しい設備やツールを準備、フリーアドレスも導入します。より一層の自由闊達なコミュニケーション、更には組織の垣根を超えた連携をして、そこで生まれる新たな発想・アイデアで、日鉄物産の新しい働き方を皆さんとともに創り上げてまいりたいと考えます。

2022年、日鉄物産グループがさらなる高みに向けて大きく飛躍する年となり、皆さんそしてご家族にとって健康で幸せな一年となることを心より祈念し、私の年頭の挨拶といたします。


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以上