2019年 年頭挨拶

2019年01月08日

1月7日、東京本社で行われた当社社長佐伯による年頭挨拶を下記の通りお伝えします。

皆さん、あけましておめでとうございます。

清々しい新年を迎え、心新たな気持ちで出社されていることと存じます。

2019年の年頭にあたりまして、皆さんに挨拶をさせていただきます。

昨年の世界経済は、グローバリズムの反動から、自国主義、排他主義がはびこりましたが、全体としては概ね堅調・好調な経済だったと言えるのではないでしょうか。

しかしながら、今後この状況がいつまで続くのかということについては、その動向に注視が必要です。中国の景気減速、株安の連鎖、そして円高など、すでにマイナス要素が顕在化してきております。

米中貿易摩擦・ハイテク摩擦が両国の覇権争いに発展する中で、世界の政治・経済問題が複雑な様相を呈してきており、この状況は長期にわたり継続するものと考えざるをえません。

また、世界各国が経済成長維持のために続けてきた金融緩和政策は、米国の利上げ、ECBの量的緩和政策終了など、その出口戦略を求める段階に入ってきております。過度な引き締めは経済委縮となり、緩和継続は資産バブルにつながる中で、バランスのとり方が非常に難しくなっております。

今年も経済の堅調な推移を期待したいのはやまやまですが、このように不安定要素が増す中で、世界経済・日本経済をチェックし見極めて、リスク対策を議論し、いざその時には機動的に対応していくための準備をすることが肝要かと考えます。

昨年、当社は中期経営計画2020を策定・発表し、その達成に向け鋭意取り組んでいるところであります。その要諦はさらなる成長戦略へのシフトであり、社会・産業の変化に対応したサービスとソリューションの提供であります。また、安全・品質・コンプライアンス遵守、そして働き方改革は計画の土台であります。

その一年目の今年度上期決算においては、売上1兆2,400億円、経常利益180億円とともに過去最高を記録し、年度経常利益目標380億円に向け全力を挙げているところであります。皆さんの多大なるご努力とご奮闘に心より感謝申し上げる次第であります。

今年は中期経営計画の中間年、年度にあたる年でありますが、経常利益計画440億円達成に向けては、先ほど来申し上げているように、取り巻く環境がより厳しくなり、アゲインストが強くなると覚悟すべきであり、正念場の年となるでありましょう。

徹底的に考え抜いて、各施策をやり抜いていくべく、構想力、企画力、計画力、そして実行力が問われる年であります。

そこで、各本部の皆さんに今年のテーマとお願いを申し上げます。

鉄鋼事業本部は、昨年4月に三井物産グループの皆さんを迎え、また12月に日本鐵板の皆さんを当社グループに迎えました。海外においては、ベトナムQHプラス社に出資し、米国ヒューストンにコイルセンター設立を決めました。こういった中で、今年は景気変動を踏まえた在庫・資産対策などに注力しつつ、国内外でしっかりと需要を捕捉し、中期経営計画目標の2,400万トンに向け歩みを進めるとともに、重点施策であるシナジー効果の追求を加速していただきたい。そのためには、バリューチェーン・サプライチェーンのさらなる強化拡充が必要であり、多様化する顧客ニーズへの総合提案力強化が求められます。しっかりと対応いただきたい。

産機・インフラ事業本部は、昨年改編した4つのビジネスユニットにおいて、さらなる進化を図り、中期経営計画達成につなげてください。それぞれのビジネスにおける取り扱い数量、売上の拡大はもちろん、付加価値向上に注力し、とりわけGHSビジネスでの収益力強化、メキシコ・ベトナムのインフラビジネスの実績づくりをお願いしたい。

繊維事業本部は、「川中の価値再構築」に向け、企画提案力や生産・物流・販売ノウハウをさらに進化させるべく、デジタルテクノロジーを駆使し、サプライチェーン、受注・社内業務・生産工場の可視化・見える化を早期に実現してください。そして、効率化とともに迅速な意思決定・マネジメントに取り組んでいただきたい。また、海外市場の開拓・拡大、そして昨年のSYMBOL社への投資など新たなマーケット・販売手法へのアプローチを加速し、さらなる成長戦略を追求いただきたい。

食糧事業本部は、まずは食の安心・安全を前提にビーフ・ポーク・ブロイラー・加工食品の4本柱で安定収益を確立していただきたい。昨年は、つぼ八の株式の大半を譲渡しましたが、今年は川上・川下戦略に向けた投資などにより、当社食糧事業のプレゼンス拡大に全力で取り組んでもらいたい。

企画管理本部は、各事業本部へのサポート機能を最大限発揮しつつ、デジタル化対応、SDGs対応などへの取り組みを推進し、エクセレントカンパニー実現に向けリードしていただきたい。

以上申し上げてまいりましたが、すでに懸念が言われ始めた世界経済のブロック化による通商の枠組みの変化、それによる経済活動の長期停滞などといった場合には、これら施策の補強策をも検討することが必要と考えますが、いかなる状況になろうとも、各事業本部とも中期経営計画達成、そしてさらなる高みを目指して「道なき四つの未知」を切り拓いていって欲しいと念願する次第です。

さて、ここで本年の当社グループの最優先課題について特に強くお願いしたいことを申し上げます。皆さんもご認識いただいていると思いますが、安全・品質・コンプライアンス遵守の強化・再徹底です。

昨年の安全成績は不本意な結果に終わっており、忸怩たる思いであります。今年は「全員がルールを守りきる。」ことに向けすべての施策を総動員し、守り切れる仕組みを確立します。災害防止の設備対策も徹底的に洗い出し、そして迅速に対策を打っていきます。皆さんが「災害を絶対に発生させない。」という強い決意と意志をもって厳しく取り組むことを改めて強くお願いします。

次に品質ですが、品質事故は起こしてしまったら社会的責任が厳しく問われ、会社の存在そのものが危うくなることは皆さんご承知の通りであります。お客様の要求通りの仕様で間違いなくお届けすることを徹底すべく、受注から加工・出荷・納入までの手順、チェックシステムについて今一度それぞれ再点検していただきたい。

そして、コンプライアンスの遵守。当社グループ全社員にコンプライアンス意識のさらなる浸透をお願いしたい。社会人・組織人として、一人ひとりが意識高く健全な業務遂行を徹底してください。

以上申し上げた、安全・品質・コンプライアンスの遵守は会社の基礎・土台であり、これが徹底できないところに成長もエクセレントもないことを肝に銘じていただきたい。

締めくくりに申し上げたいことは、今年は「働きやすい職場、働きがいある仕事」の実現に向け、取り組みをさらに加速したいということです。仕事と生活の調和を図り、多様な人材が活躍できる環境を作るとともに、業務効率化と生産性向上を実現します。そして集中して仕事をとことんやりきることで成果につなげ、そこにやりがい・働きがいを見い出してもらいたいと思います。会社として重点テーマと位置づけ、皆さん一人ひとりの取り組みを最大限バックアップしてまいる所存であります。

以上縷々(るる)申し述べてまいりましたが、今年は4月から社名が日鉄物産となります。さらなる飛躍をめざし、私自身、専心努力を惜しまぬ決意であり、皆さんの一層の奮起を期待し、お願いするところであります。

最後になりますが、今年が当社グループにとって、そして皆さんにとって輝かしい一年となることを祈念して、私の年頭の挨拶といたします。

ご清聴、ありがとうございました。

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以上