代表取締役社長 園田 裕人

社長メッセージ

DXを通じて、
仕事と会社を変えていく

日鉄物産株式会社
代表取締役社長 園田 裕人

デジタル技術、とりわけ生成AIの急速な進展により、私たちを取り巻く事業環境は、これまでにない速さで変化しています。こうした時代において、現状維持は後退を意味します。私たちは「つづける、かえる、やめる、はじめる」の姿勢で変革に挑み、お客様や社会から選ばれ続ける力を高めていかなければなりません。

こうした変化の時代において、私たちが進めるべき重要な経営変革が、DX、すなわちデジタル企業変革です。

DXは、単なるシステム導入でも、業務効率化にとどまるものでもありません。デジタル技術とデータを活用し、仕事の進め方、意思決定のあり方、組織の仕組み、さらにはお客様への価値提供の方法そのものを変える取り組みです。私は、DXをお客様や社会に新たな価値を提供するための挑戦と位置づけています。

もちろん、定型業務や事務作業を見直し、生産性を高めることは重要です。しかし、その目的は単なる省力化ではありません。創出した時間を、お客様と向き合うこと、現場に足を運んで課題や新たな需要を発見すること、そしてより良い提案を行うことへ振り向け、商社としての価値を一段と高めていきます。

同時に、営業活動やサプライチェーン、商談や提案の過程で得られる情報と知見を、データという会社の資産として蓄積し、活用します。これまで個人の経験や勘に支えられてきた強みを組織全体の知恵へと進化させ、より速く、より質の高い意思決定につなげます。

「どの業務をデジタル化するか」から考えるのではなく、「将来どのような価値を生み出す会社になりたいか」を起点に、仕事と仕組みを変えていくことが大切です。そのためには、一人ひとりが今の仕事のやり方を当たり前とせず、自ら考え、見直し、行動に移す必要があります。

こうした取り組みの積み重ねによって、日鉄物産ならではの価値をお客様へ提供し、「日鉄物産と組みたい」「日鉄物産なら安心」と信頼され、選ばれ続ける会社を、つくっていきたいと考えています。

DX推進体制

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、企業の持続的成長に不可欠です。
当社では全社的なDXを加速するため、組織体制の強化と人材配置の最適化を進めます。

デジタル改革推進委員会の設立

当社は全社的なDX推進を加速するため、「デジタル改革推進委員会」を設置しました。本委員会は単なる情報共有の場ではなく、全社的な視点からデジタル活用の方向性を定める推進母体として、案件の必要性や期待効果、優先順位を整理し、投資・開発計画や業務改革のロードマップに反映します。
あわせて、進捗や効果の検証、成功事例の横展開を通じて社員の意識向上を図り、部門横断で一貫性のある取組を進めることで、デジタル技術の活用を全社最適の観点から着実に推進していきます。

デジタル改革推進委員会の主な役割

  1. 1

    デジタル改革推進の
    全体方針を定める

    DX推進の方向性や全社基本方針を整理し、全社で一貫した推進方針を定めます。

  2. 2

    システム投資案件を
    評価する

    必要性や期待効果、優先順位を精査し、投資・開発を進める案件を判断します。

  3. 3

    DXを
    全社に広げる

    DXに関する情報や成功事例を全社で共有し、各部門への活用・展開を促進します。

期待される効果

  • 重複投資の抑制
  • ICT基盤・セキュリティの強化
  • 業務変革を支える基盤の整備
  • 社員の意識向上と業務の効率化

デジタル改革推進委員会の体制

デジタル改革推進委員会の体制図

事業本部制を活かした
DX推進体制

事業本部ごとに「DX推進部兼務社員」を配置し、各事業本部の特性に合わせたDXを推進しています。
現場に精通した兼務社員が課題を的確に把握し、スピード感のある解決策を講じることで、全社の競争力強化に貢献しています。

支店ネットワークの強化

DX推進部では「エリア兼務者」を一部支店に配置しています。兼務者は支店内DXの窓口として現場の課題や成功事例の情報共有を担い、本部と現場をつなぐハブ機能を果たしています。

委員会によるガバナンス強化、兼務者による現場連携、そして人材育成と連動した開発体制により、当社のDX推進基盤は着実に進化しています。今後も全社一丸となってDX推進活動に取り組んでまいります。

DX人財戦略

DXリーダー人財の育成

2023年より「DX人財育成リーダーシップ醸成研修」を開始しました。将来的にDX領域でリーダーシップを発揮する人財の育成を目指し、100名以上の受講を目標に取り組んでいます。研修修了者にはさらなる「ステップアップ研修(ワークショップ)」を実施し、実践力の強化を図っています。ここで培った知見から、人事部門向けチャットボットの開発・運用も実現し、現在新たにカタログシステムも構築中です。
変化の激しい市場環境に適応し、自社の競争力をさらに高めるため、組織全体でDX人財育成にこれまで以上に注力してまいります。

研修機会の拡大

当社では、階層別に研修を行っています。階層ごとに内容は異なりますが、講義を聞くだけの研修ではなく、概念を学んだうえで実際に自ら手を動かし作業を行うことで、理解の深まりと納得感の向上を重視しています。変化の大きい時代に対応した研修体系を目指しています。

階層別研修

経営層 / 部課長 社外講師によるハンズオン研修
中堅層 リーダーシップ醸成研修によるマインドセット
→ステップアップ(カタログシステム、チャットボット等)
一般職 生成AIを活用した日常業務の業務刷新・効率化

DX基盤づくり

2022年度より、昇格要件の一つとして「ITパスポート」試験の合格を設定し、ITパスポート受験支援により、全社員のDXリテラシー向上を推進してきました。その結果、ITパスポート試験合格者数は着実に増加しており、社内のIT基礎知識の底上げが進んでいます。また、全社で導入している生成AIは着々と利用者が増加しており、業務効率化や新たな付加価値創出に向けた現場での活用が定着しつつあります。

ITパスポート試験合格者数の推移

ITパスポート試験合格者数の推移を示すグラフ

※棒グラフ:各年度合格者数/折れ線グラフ:累計合格者数

生成AI利用者数

生成AI利用者数を示すグラフ

鉄鋼DX施策と環境整備

2023年4月に日本製鉄の子会社となったことを受け、日本製鉄との協業を現在進めています。鉄鋼DX施策によって鋼材流通のデジタル化を推進し、メーカーから鋼材加工会社、最終顧客までサプライチェーン全体の効率化と流通改革の実現を目指しています。特に、DXは日本製鉄の戦略である「幅と厚みを持つ強靭な事業構造への進化」における「厚み」を広げる部分、つまりメーカーや商社、加工会社(コイルセンター)、顧客へと至る各段階での付加価値や対応力を高める取り組みにおいて、システム面から重要な役割を果たしています。今後もDX施策を通じて営業シナジーの最大化を目指すとともに、新たな価値創造や業務効率化のための協議・連携を積極的に推進していきます。具体的な取り組みとして、受発注業務(SPOD)、財源管理(N-SCM)、加工拠点の管理(EXCS/エクシス®)、取引データ授受(NST Business Online)の4つのシステムを2023年度上期までに導入しました。今後もさらに機能拡張や拠点展開を積極的に進める予定です。

鉄鋼DX施策の4つのシステムの全体図
  • 入票システム改善
    (SPOD)

    導入
    目的

    • 発注業務の標準化・チェック機能の強化
    • 業務精度向上・効率化・人為的ミスの削減

    現況

    対象全営業課で導入完了。顧客が受領した注文書Excelファイルをもとに、基幹システムにて注文データの自動作成機能を実装。利用拡大中。

  • 新コイルセンターシステム
    (EXCS/エクシス®)

    導入
    目的

    • 子会社コイルセンター基幹システムの刷新
    • 各社システムの仕様最新鋭化・統一化

    現況

    日鉄物産コイルセンター社(有明、姫路、横浜、群馬、関西)、メキシコNSTCCMにて本番化済み。さらに国内・海外の他拠点、他社へ展開予定。

  • 自動財源管理システム
    (N-SCM)

    導入
    目的

    • リピート取引分野における財源管理の自動化
    • 状況変化への対応迅速化

    現況

    自動車鋼板部門への導入完了。自動車以外の薄板及び鋼管へ展開中。

  • 取引先ポータルサイト
    (NST Business Online)

    導入
    目的

    • 取引先との情報授受をデータ化するデジタル基盤の構築
    • データ授受の正確化と効率向上
    • SPOD、N-SCM、EXCS/エクシス®と連携し、各DX機能を強化

    現況

    主要機能の本番化済み。